【お金と幸せを科学する】地位財と非地位財を解説


この記事では、幸福度に非常に大きな影響を与える、地位財と非地位財を解説します。

僕がこの考え方を知ったときは、大きな衝撃を受けたのを覚えています。ぜひ地位財、非地位財の考え方を身に付け、幸せとお金の関係を一緒に考えていきましょう。

タライ・ラーマくん
地位財、非地位財の考え方は、幸福度に大きく影響を与えたよ。

今回解説するのは以下の通りです。

✔   地位財・非地位財とは何か

✔   なぜ、地位財・非地位財の考え方を知る必要があるか

✔   お金と幸福度の関係

   幸せな生き方をするためのヒント

✔   地位財、非地位財の考え方を応用した目標達成の方法

 

地位財・非地位財とは何か

地位財、非地位財の考え方は、コーネル大学のロバート・フランク教授が提唱しました。他人との比較によって生じる財を地位財、誰かと比べて得るものではない財を非地位財と区分けしています。

✔ 地位財:他人との比較によって生じる財(短期的、相対基準)

✔ 非地位財:誰かと比べて得るものではない財(長期的、絶対基準)

幸福感を呼び起こすものとして地位財、非地位財と整理します。
地位財と非地位財の考え方を知ることで、私たちのお金と幸福の関係が見えてきます。

お金と幸せの関係

私たちはある程度の年収に到達すると、年収が上がっても幸福度はそれほど上がらないとのデータがあるようです。
図に表すとこんな感じです。

年収が上がるにつれて最初は幸福度は上がるのですが、年収が上がっていくにつれて幸福度が年収に比例して高まることはありません。幸福度がフラットになる年収は、国や年によっても多少変わってきますが、だいたいこのようなグラフになります。

なぜかというと、

1. 年収を上げるために必要な労力も大きくなること

2. 年収が高くなると付き合う周りも年収が高い人になってきて、相対的には豊かさを感じられない

ことにあると言われます。

この図から私たちが幸せになるためには、ある程度の年収に到達するまでは収入が幸せ度に貢献するものの、ある程度の年収に到達すると、幸福の感度を高めたほうが幸せになることがわかります。

そして、幸福度は周囲との関係が大きく影響していることが研究の結果分かってきました。

【地位財、非地位財のクイズ】どちらの世界に住みたいか?

さて、ここでクイズを出しましょう。あなたはAの世界とBの世界のどちらに住みたいですか?

地位財の例

質問1:あなたはどちらの世界に住みたいですか?

Aの世界では、あなたは600万円の車を持っています。一方、周りの人たちは4000万円の車を持っています。

Bの世界では、あなたは300万円の車を持っています。一方、周りの人たちは60万円の車を持っています。

あなたは、どちらの世界に住みたいですか?

 

非地位財の例

質問2:あなたはどちらの世界に住みたいですか?

Aの世界では、あなたは年間100日間の休暇があります。一方で、周りの人たちは150日の休暇があります。

Bの世界では、あなたは年間50日間の休暇があります。一方で、周りの人たちは30日の休暇があります。

あなたは、どちらの世界に住みたいですか?

 

多くの人の回答結果

質問1では、Bの世界に住みたい人が多いようです。

 

質問2では、Aの世界に住みたい人が多いようです。

 

質問1が地位財、質問2が非地位財です。

地位財は周囲との関係により幸福度合いが左右されてしまうもの。相対的に優位であると幸せを感じる特徴があります。

非地位財は周囲と関係なく、それ自体があることが幸福度合いに直結するもの。そのもの自体に絶対的な価値を見出します。

地位財は幸福度が短期的であるのに対して、非地位財は幸福度が長く続く特徴があります。

地位財と非地位財の特徴

地位財と非地位財の特徴をまとめます。

地位財は競争の世界です。地位財の競争の世界にハマると、マウンティング合戦になりやすく、お金も使うし、幸せから遠ざかってしまう傾向にあります。

地位財、非地位財を意識した方がよい理由

ここまで、地位財、非地位財について解説しました。

なぜ地位財、非地位財を解説したかというと、お金や時間をどのように費やすかに直結するからです。

自分のお金や時間を地位財あるいは非地位財のどちらに費やしているかを自覚しないと、年収が上がっても幸福度が上がりにくくなります。

年収を2倍にするのは容易なことではありませんが、支出をコントロールするのは容易にできます。
支出を非地位財に充てる割合を増やすことで幸福度は上がります。

これは時間に対しても同様です。

あり余る年収を得ていた超一流のスポーツ選手が、引退するとなぜ破産するケースが多いのかと、いう記事をどこかで読んだことがあります。

この記事ではこう書かれていました。
年収が高い時は、家も車も豪華になる選手が多いのだそうです。

しかし、引退すると現役時代よりは年収は下がる傾向にある。
それでも一般人よりははるかに高い年収なのですが、現役時代の生活レベルを保つのは難しくなることが多いようです。

そのときに生活レベルを落とせばよいのですが、これが周囲を気にして落とせないのだそうです。落ちぶれた感覚を持ってしまうようなのですね。

一般人よりは、はるかに良い暮らしにもかかわらずです。

家を少し狭くする、車のグレードを少し落とすなどをすればよいのですが、当人にとっては非常につらいことで、なかなかできないようです。
こうして破産する例が多いのだそうです。

多くのスポーツ選手が似たような経緯をたどるので、教訓にできそうなものですが、自分はそうはならない。と多くの現役選手は思います。

しかし自分は当てはまらないと思っていた選手が、同じ運命をたどることも少なくないようです。自分事として常に思っておく必要がある、とその記事では書かれていました。なるほどですね。

ネパールやツバルで感じたこと

僕自身が地位財、非地位財を痛感したことがあります。ネパールやツバルを訪れたときのことです。

1日1000円、2000円での暮らしで、山では1日100円くらいの宿に泊まっていたのにとてもハッピーな気分を味わえたのです。

もちろん日本とそれらの国との物価が違い比較はできないのですが、それでもグレードの低い宿だったと思います。

これは単純に周りに金持ちがいないからだと思います。そして、周りとの比較対象がないからです。

ツバルを訪れたときのエピソードはプロフィールの中で詳しく書いていますので、よろしければそちらをご覧ください。

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(2000年12月31日ツバルにて撮影)今回はツバルを訪れたときの話を書こうと思います。ツバルは地球温暖化により最初に沈むと言われている国です。僕は2回訪れており、1回目は個人で生きました。2000年の年末年始です。[…]

地位財の世界は、結局のところ社会が作り出したモノサシの中で上に立とうとする世界です。
あなたの下には下がいて、あなたの上には上がいます。

上に立てたと思ったのもつかの間、周囲の環境も自然と変わってきますので、上だと思っていた世界が平均になります。

そうして、優位性を保てなくなり、さらに努力して上を目指そうとする。ほんのひととき抜け出た快感が味わえるものの、周囲があなたの環境に合わせて変わってきますので、そこでまた平均になり、、ラットレースが繰り返されていくのです。

 

ブータンのGHPとその後

ブータンはGDP(国民総生産)に対して、GNH(国民総幸福)を指標とした国として有名です。世界のほとんどが国の生産性を基準とするのに対して、ブータン国王は幸福度を指標とする政策を取りました。

幸福度は数値で表せるものではないので、基準は作りにくいですよね。しかしそれがよかったのです。
ブータン国民は非常に幸福度が高いことで当時は有名でした。

1. 暮らし向き 2. 体の健康 3. 心の健康 4. 教育 5. 環境 6. 文化 7. 時間の使い方 8. コミュニティの活力 9. 良い政治

・ GNP(国内総生産)は相対評価
・GNH(国内総幸福)は絶対評価 

しかし今、ブータン国民の幸福度は大きく下がってしまっていると聞きます。なぜでしょうか?

ブータンは自国の文化を守るために鎖国をしており、他の文化が入らないような政策を取っていました。
そのため、ブータン国民は、他の国の情報を知ることはありませんでした。

しかし今は、インターネットでの情報や出稼ぎや留学などで海外の情報も多く入ります。その結果、他国と比べてブータンは貧しいのではないか、と国民が感じるようになり、幸福度が下がってきているというのです。

比較の世界が入ることで幸福度が下がってしまったわけですね。

 

まとめ 【地位財・非地位財とシンプルライフの関係】

地位財に時間とエネルギー、お金を費やしても幸福は長続きしないことがわかっています。
非地位財に費やすエネルギーや資源がなくなってしまうのです。

私たちは非地位財に意識を向けることが大切だと考えています。

健康であったり、時間であったり、家族であったり、愛情だったり。見えないものの大切さを考えてみることも大切です。

ブータンのGNHの9つの指標も参考になるかもしれません。

一般的には、モノよりも体験にお金を費やす方が幸せになれると言われています。

モノにお金をかけるにしてもマウンティングを取るためではなく、本当に自分が気に入ったものにお金をかけられると良いですね。
これは非地位財です。

シンプルライフは非地位財に意識を向けるための有効な方法です。

不要なモノを減らして生活を最適化することに目標を持つのですから、モノを持つことがステイタスという社会的なモノサシから解放されます。地位財に意識が向かいにくく、激しい競争の世界から離れやすくなります。

マウンティングの多い世界から離れるだけでも私たちは平穏になり、豊かさが増します。

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目標の達成も絶対基準で考えるとうまくいく

目標を達成しようとする場合も、相対基準で考えるよりも絶対基準で考えたほうが上手くいきます。

例えば、勉強でも上位100位以内に入ろうと思うと、競争の世界に入ります。相対的なものだからです。

一方、「ここまでできるようになれっば100位以内には入れる。ではここまでできるようにがんばろう」とすれば、それは絶対基準です。

100m競争でも、オリンピックに出るために日本で上位4人に入る必要がある。と考えるとつらくなりますが、9秒台を出せば確実にオリンピックに出れるので、10秒の壁を切るように頑張ろうと思えば、これは絶対基準になります。

なるべく動かせないものを中心として、目標を設定すると競争の世界から離れることができ、結果的にうまくいくことも多くなるでしょう。

お金も時間も有限です。
有限な資源を、非地位財に価値を置く生き方をすることを目指しましょう。

 

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