今回は、目標をうまく立てるための5つの要素を紹介します。
SMARTの法則というものです。聞いたことがある方も多いと思いますが、高い効果を示します。
このSMARTの法則に、メリット・デメリット整理法とブレインストーミングの3つをセットにすると、目標が飛躍的に達成しやすくなります。
✔ SMARTの法則を聞いたことがあるが、イマイチ効果が出ていない人
✔ 組織内で自分の意見が通らないことが多い人
✔ 一時の感情や感覚で動いて失敗してしまうことが多い人
成功するための5つの要素 – SMARTの法則 –
SMARTの法則とは、目標を立てるときに効果的な5つの要素を、頭文字のS、M、A、R、Tで示したものです。
SMARTの意味をお伝えする前に、うまくいかない目標の立て方を見てみましょう。
例えば、こんなことはないでしょうか。
「よし、今日から不要なものを捨てて全部片づけるぞ!」
この目標の立て方はあまり良いものではなく、うまくいかない場合が多いです。
なぜなら、この言葉はSMARTの法則に則っていないからです。
成功するためには5つの要素が必要と言われています。
SMARTの法則で見落としがちなもの
SMARTの中で、S(具体的に)とM(測定しやすい)とT(期限が明確である)は、比較的簡単に作ることができます。
問題はA(同意している)とR(現実的である)で、陥りがちな罠があります。今回はAとRを詳しく見ていきましょう。
R(現実的である)
人は大きな短期目標を立てやすい傾向にあります。例えばこんな感じです。
- 3日で90%の不要物を手放す。
- 1か月で5kg痩せる
- 半年で偏差値40から猛勉強して東大に合格する
実際には、1年間でできることは限られているものの、10年あれば予想以上に多くのことができるのです
A(同意している)
あなたは、あるいは組織は、立てた目標に本当に同意しているでしょうか。心の底から同意しているか、していないかで結果は大きく異なります。
自分の中で同意するためには、あらかじめメリットとデメリットを表に出し、それでも目標に向かって進むべきかを判断することが大切です。
ほとんどの事柄には、メリットとデメリットがあります。メリット100%であれば、目標など立てる必要もありません。自動的にやるでしょう。
メリットもあるけど、デメリットもある。
だから、人は迷うのです。
メリットとデメリットが意識の下でぼんやり見え隠れし、時にはメリットに意識が、時にはデメリットに意識がと繰り返します。
こういうときは、メリットとデメリットを整理して、やるかやらないかを納得するようにしましょう。
メリット・デメリットの整理法
メリットとデメリットの整理は、こんな方に特におすすめです。
【 組織(チーム)編 】
決定権があなたではなく、上司にあるパターンです。
① プロジェクトを受けるべきか受けないべきか
1. 上司にあるプロジェクトを引き受けるべきかどうか相談された。引き受けた場合は、あなたに担当をお願いしたいと考えている
2. 打診されたプロジェクトは経験上、労力の割にはうまみがないもので、依頼先も一筋縄ではいかない相手である。
このプロジェクトは損失を与える可能性が高い案件のように見受けられた
3. あなたは出来ればこのプロジェクトを引き受けたくないとする。
業績評価にもつながりにくく、トラブルが生じやすそうだと感じている
4. 一方で、上司に向かって無碍に断る訳にもいかない。できれば心象を悪くしたくない
5. どうやって上司に説明すればよいだろうか
担当者はやりたくないな~と思っている場合、よくあるパターンが次のようなものです(昔の僕です)
「すみません、今はどうしても忙しくて担当者になることができないんです。それにこの案件はあまりうまみがないように思います。できれば、お断りいただけませんか?」
上司からすると、カチーン!となるかもしれませんね(笑)
では次のパターンはどうでしょう?
【 個人編 】
決定権があなたにある場合です。あなたは今の会社を続けるかどうか迷っていましたが、次のように考えました。
② 会社を辞めるべきか辞めないべきか
1. 転職をすれば、イヤな会社から逃れられる。
2. どうしても、会社が合わない。もうやめよう!
IT企業の役員でありタレントでもある厚切りジェイソン曰く、
「世の中には全く何もリスクをとらないか、リスクも考えずにいきなり飛び出すか、両極端な人が多い」
感情や感覚で、ゼロか百かで判断してしまう人がいますが、大きな決断をするときは危険です。
決断するときは、いろいろな可能性を考えた上で決断したいものです。
勢いに任せて決断するよりも、まずは客観的にメリットとデメリットを整理した上で、どちらにするかを決めたほうが後悔も減りますし、自分たちが何をすべきかも見えてきます。
やるにしても、やめるにしても、根拠を持った決断は後悔も(ゼロにはならないにしても)少なくなります。
メリット・デメリットを整理するときのコツ
メリットとデメリットを整理するとき、最初のうちは、メリットくんとデメリットさんと擬人化すると、より客観的に整理できるでしょう。
擬人化すると、あなたはメリットくんとデメリットさんの言い分を公平に見やすくなり、中立を保ちやすくなります。
よく起こりがちなのが、メリットとデメリットを整理するとき、ゴーサインありきでメリットくんの味方になってしまうことです。
これでは、デメリットの声を十分に聴いたことにはならず、心の中で火種がくすぶります。
メリットさん、デメリットさんの声を十分に聴いて、公平なジャッジをしましょう。大切なポイントです。
先ほどの例で考えてみます。
【事例① プロジェクトを受けるべきか受けないべきか】
まず、プロジェクトを受けたときのメリットとデメリットを考えます。
<メリットくん(例)>
1. お客さんとの関係性が継続しやすい(断ると信頼関係が崩れてしまいかねないとの心配あり)
2. 売り上げ増につながる
3. スキルやノウハウの蓄積になる
4. 今回のプロジェクトを切っ掛けに、大きなプロジェクトにつながれるかも
<デメリットさん(例)>
1. 面倒な顧客である
2. 薄利であり、赤字案件になりかねない
3. 担当者が疲弊し、長期的にはマイナスとなる可能性もある
4. 契約が曖昧で、契約後にトラブルが生じかねない
メリットとデメリットが整理されると、組織やチームで話し合う論点がはっきりしてきます。
この仕事あんまり好きじゃないんですよね~。やっても意味ないと思いますよ~。みたいな感覚で話をしては、これはあなたの感覚でしょう、と話が前に進みません。上の表のように整理すると、論点がわかりやすくなります。
このメリットとデメリットの整理は、主催者が事前に準備しておくと効果的です。備えあれば憂いなしです。
組織で話し合う場合、あなたが考え以外のものが他のメンバーから出てきた場合、これも貴重な意見ですのでリストに追加しょう(決して、どちらかの味方はしないようにしましょう)。
デメリットが見える化されると、
1. やるべきか、やらないべきか
2. やる場合、デメリットをどう解消するか
と、話し合う議題が見えてきます。
例えば、契約が曖昧な場合は、上の人間が支えとなり、心象が悪くならないように、契約内容を詰める工夫をするとか。
担当者は一人では大変なので、あらかじめ2人以上は必要となるが、それでもコスト的には問題にならないかなど。
あらかじめ、問題点を整理したものを提供すれば、上司も判断材料をもった上で決定しますので、やるにしても、やらないにしても、あなたと上司の間で摩擦は生じなくなります。
・自分の欲求や意見を通すために、データを持ち込むとやがて嫌われてしまいます。
・今回は上手くいったから、次回も、となると関係性を読み違えてしまいます。
・私利私欲で誘導しないように注意しましょう。
【事例② 会社を辞めるべきか辞めないべきか】
感情や感覚で動きやすい人にも、メリットとデメリットの整理は有効です。
例えば、上司やイヤだ。もうやめたい!
会社を辞めるか、辞めないべきか迷っているときは、どうでしょう?
会社を辞めたときのメリットとデメリットを書いてみます。
<メリットくん>
1. イヤな上司と会わなくて済む。ストレスが減る
2. 時間に余裕ができる。その分、自分の興味あるビジネスを起こすことができるかもしれない。
3. 家族との時間が増える
<デメリットさん>
1. 会社からもらっていた給与がなくなる
2. 生活が不安定になる
メリットとデメリットを整理すると、デメリットを解決するためのアイデアを思いつくかもしれません。
✔ 部署の異動は考えられないか?
✔ 何かしらの副業をして副業で稼げるようになってから、会社を辞めるという選択肢はないか?
✔ 転職サイトにとりあえず登録だけしておいて、良い条件が出てきたら、転職してみることはできるか?
✔ 一次的に転職して、給料は下がることはあるかもしれないが、共働きで1年間は妻に頑張ってもらい、その分家事を分担するなど話し合う余地はあるか?
✔ 資格を取って、転職を有利に進めることはできるか?
現実的かどうかは置いておいて、デメリットを軽減できるアイデアを思いつく限り書き、現実的なもの、やりやすそうなものを書いてみるのもよいでしょう。いきなり感覚的に退職するよりも、良い結果を招きやすいのではないかと思います。
もっとアイデアを出したいときは、ブレインストーミングがお勧めです。
複数の人が集まって行うイメージがありますが、一人でやっても効果があります。
ブレインストーミングのちょっとしたコツ
ブレインストーミングは、会社などでもよく行われますが、残念ながらあまりうまくいかないことが多いと聞きます。
ブレインストーミングにはちょっとしたコツがありますので、ここでこの機会に、正しいブレインストーミングの方法をつかみましょう。この方法は僕がお世話になっている日本メンタルヘルス協会より教えて頂きました。
ブレインストーミングとは、読んで字のごとく、脳に嵐を起こすことです。
脳に嵐を起こすには、ちょっとしたコツがあります。
1.突拍子のないアイデアで構わないので、思いついたことをひたすら紙に書いていく。質より量。良い悪いの判断はしない。
2.出てきたアイデアは絶対に否定しない。(自由な雰囲気を作ることが大切です)
3.実現可能なものと、できなそうなものを振り分ける
4.実現できそうなものを試す
5.うまくいくかどうかをフィードバック。うまくいかない場合は1に戻る
3分など時間を決めて、リズムに乗って、アイデアを出していくのがコツです。質より量です!
似たようなアイデア大歓迎!3分で100個くらいが目安です。ばかばかしいアイデアで良いので、とにかく数を出す。
楽しくなってきますよ。
意見が異なる相手でもブレインストーミングで一緒に解決策を出すことで、方向性が一致し対立者と思っていた方が味方になることが良くあります。
例えば、デメリットを消すために何ができるか。
組織やチームで正しいブレインストーミングのやり方で行えば、組織は活気づきますし、考えもつかなかったアイデアが出ることも多々あります。
まとめ
今回は、目標達成するための5つの要素を解説しました。シンプルライフを送るためにも必須のスキルです。
1. SMARTの法則
成功するには、SMARTの法則が有効だという話をしました。
2. メリット・デメリットの整理
特に、決められない、継続できない、は2つの相反する心が衝突し、モヤモヤしてエネルギー漏れを起こしてしまうことより生じることが多いです。
従い、何かを決断するときは、感覚や感情で行うよりも、メリット・デメリットを整理すると前に進みやすくなります。
メリット・デメリットを整理すると、脳は自然とデメリットを減らす方法を考え出します。
3. ブレインストーミング
さらに、新しいアイデアを出していくには、ブレインストーミングが有効です。
- 突拍子のないアイデアで構わないので、思いついたことをひたすら紙に書いていく。質より量。良い悪いの判断はしない
- 出てきたアイデアは絶対に否定しない(自由な雰囲気を作ることが大切です)
- 実現可能なものと、できなそうなものを振り分ける
- 実現できそうなものを試す
- うまくいくかどうかをフィードバック。うまくいかない場合は1に戻る
迷いが生じたとき、モチベーションが続かないときは、この3つのツールを思い出し、自分の中で良いアイデアを出しながら、前に進んでいかれることを願っています。