【人間関係】親身なアドバイスで嫌われた人に知って欲しい 「失敗する権利」とは?


今回のブログでは、聴き方のテクニック的なところよりも考え方を中心に解説します。考え方が腑に落ちると、聴き方が自然と備わってくるからです。

そんなことを言うと偉そうに聞こえるかもしれません。
実際には僕も全然できていないな~と感じることも多く、自分の振り返りとして書いている部分も半分あります。

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つい先日、日本メンタルヘルス協会の講座を再受講しました。
前期基礎コース、後期基礎コース、プロコースを受講し終えて、もう一度、受講し直しています。

同じことを繰り返し学ぶ必要があるのか、と思われる方もいるかもしれません。

しかし同じことではありません。
野球でもバットの振り方を習ったら、もう二度とコーチに習うことはないかというとそんなことがないように、もう一度学ぶことで、前とは異なる気づきが得られます。

螺旋階段を少しずつ上がるイメージで、上から見るとグルグル回っているように見えていても、横から見ると上がっている。
そんなイメージです。

今回受講したのは講座の最初に出てくるもので、「人の話の聴き方スマートテクニック」というものでした。

人の話をしっかり聴けるスキル、これは人間関係のすべての土台となります。
もちろんカウンセリングを行う人間だけでなく、営業、家庭、恋愛、クレーム処理、組織内での活用など、ほぼ全ての社会活動に関わるものです。

しかしこの聴き方というのが奥が深く、分かった気になってもなかなかできないのが実情
薄紙を重ね合わせるが如く、少しずつ少しずつ、分からないくらいの変化の中で積み重ねていく作業が僕にとっては必要なのです。

 

人間関係を劇的に良くするための基本的な考え方

カウンセリングの巨頭として、カール・ロジャースという人がいます。カウンセリングに革命をもたらした世界的な心理療法家です。

ロジャースの前は、カウンセリングはクライアントにアドバイスをするものだという考えが一般的でした。
しかし、カール・ロジャースは「クライアント中心療法」という、クライアントを主体としたカウンセリング理論を打ち立てました。

これがクライアントが抱える問題を解決するのに、抜群の効果を発揮しました。
なぜかというと、クライアント自らが問題を解決する力を最も発揮することが実証されたからです。

クライアント中心療法はカウンセリングだけに留まらず、リーダーシップ、組織の活性化、日常の人間関係などあらゆる場面に応用されています。
自らが問題を解決する力を発揮できれば、人間関係は良好になり、会社でいえば生産性は抜群に高まるためです。

悩みは成長の起爆剤

ロジャースは、悩みは成長の起爆剤であると説きました。
なぜならむときに人は考え、その壁を突破しようともがく。その過程の中にこそ人は成長するからだ。
というのです。

その人自身が悩みを解決したとき、もし同じことが起こったとしてもすでに解決した経験を持っている。
つまり解決策はその人の中に備わったというのです。

しかし、1人で問題を解決するのは辛いことも多い。
タコ壺に入り込んでしまうように、堂々巡りしてしまうこともあるかもしれません。

だからこそ、悩みというトンネルを一緒に歩いていくれる存在は貴重です。
これはカウンセリングに限りません。友達であったり、会社の仲間であったり、家庭であったりと様々でしょう。

トンネルの中を一緒に歩いてくれる人は、悩みを抱えてくれる人にとって、とても心強い存在です。

どちらに出口があるのかはわからない。
わからないけれど、お互いに知恵を出し合って出口を一緒に探してくれる人がいる。
その人にとって、心の支え具合、安心感が大きく違ってくるでしょう。

正そうとするな、分かろうとせよ

トンネルの中を一緒に歩く人の心構えとして、心に留めたいことがあります。
(これこそ、自分にも足りていなかったと思わせてもらったものです。)

正そうとするな、分かろうとせよ」というものです。

その人の世界観に入っていく。その人が何を感じているか、感じていることを理解してくれる人に、人は心を開きます。
自分のことをわかってくれるのか、そこに人は不安を覚えますし、受容されることで人は支えを得るからです。

なぜ正そうとしてはいけないのか。理由は大きく2つあります。

1. そもそも第三者がその人の抱える問題を解決することはできないから

2. 人生のハンドルを握っているのは、その人であるべきだから

悩みは人生の宿題である。とロジャースは言います。その人に与えられた宿題を第三者が解いてはならないし、そもそも解くことができません。

私とあなたでは背景も異なりますし、価値観も異なります。私の抱えている問題の状況をあなたが完全に把握することはできません。

こうすれば良いのに、と私たちが思うことは、それができたら苦労しないというものがほとんどです。

人生のハンドルを握っているのは、その人

「人生のハンドルを握っているのは、その人であるべきだ。」

これも大事な視点です。しかしながら、私たちにはなかなかできないのも事実です。
どうしてもその人自ら問題を解決できる、と私たちは信じ切ることができません。

前にもお伝えしたように、こうすれば解決するのに、、はほとんどの場合、それができたら苦労しない。ということがほとんどです。

仮に、あなたのアドバイスで私の問題が解決したとしても、私自身に解決する能力が備わったわけではありません。
似たような問題で同じような悩みを抱えることになるでしょう。

前と同じようにあなたのアドバイスを求めなければ解決できなくなるかもしれません。

早く解決することが良いのではない。その人自身が問題を解決するからこそ価値がある。

僕が息子に勉強を教えるとき、解くのに時間がかかっていると、つい解き方を教えたくなります。

でも似たような問題が出たときに、解けなくなることも多いんですよね。
息子が問題を解いているのだから、親は待たなければなりません。しかし、僕も含めて私たちは待つことが苦手です。

つい自分が息子の代わりに解いて教えてしまうのです。

だからこそ、私たちは意識して待たなければなりません。意識したいと考えています。

関与しながらの観察

心理療法家のサリバンは、 「関与しながらの観察」の大切さを説きました。

相手の世界に入りつつ、相手の世界に巻き込まれない態度です。
その人が何を感じているかを理解しようとしつつ、その価値観に自分が染まらないという態度です。

自分の価値観を脇に置いて、その人の世界観に入りつつ、尚且つその世界観に染まらないというものです。
共感はするが同意はしない。という言い方をする人もいます。

ロジャース研究所のテストでは、人を殺してしまった人が相談に来た時の態度としてどのように振舞うべきかというのがあるそうです(極端な例ですが、実際にあるようです)。

1. 殺すなと説教する

2. なぜ人を殺してしまったのか、その犯人の思いを汲み取ろうとする

3. 人を殺した理由を聞いて、確かに私があなたの立場だったらきっとそうするだろうね、と同意する

答えは2ですが、実際の現場であればどうでしょう?

自分の価値観を脇に置いて、その人の世界観に入りつつ、尚且つその世界観に染まらない。

これは、実際やってみると相当難しいことに気付きます。

100%巻き込まれないということはありえない。むしろ、人は巻き込まれるものだという自覚をもちながら、人の話を聴くくらいでちょうど良いかもしれません。

口で言うほど簡単ではありません。僕も全く駄目だと思うことが多いです。
薄紙を一つ一つ重ねながら、習慣化していくイメージです。

自分自身の振り返り

日本メンタルヘルス協会の前期講座を再受講して、相手に解決策をアドバイスしたくなる癖があるな~と自覚しました。
その前提には自分が答えを知っているという、傲慢さがあったことは否定できません。

そうではありません。唯一の正解があるわけではなく、答えは人によって異なるはずです。

私たちは、失敗が悪いことだという先入観を持ちがちです。本当は私たちには失敗する権利を持っているのです。

その権利を奪ってはならないのです。

実際には、失敗により、私たちの価値はいかさかも失われていることはありません。

ロジャースの有名な言葉

I love you, because you are you. (私は今のあなた、そのものを愛している)

これは私たち自身にも言ってあげたい言葉ですね。私はそのままの自分を愛している。

We love us, because We are we.

人は誰でも欠点を持ち、完璧な人はいません。

欠点を持っている人が、欠点を持っている人を救おうとするからこそ迫力があります。
人が人足らしめているとも言えます。少なくとも機械にはできないことです。

僕自身、妻の話を十分に聴けていなかったな、と思い、妻にごめんなさいと謝りました。
1年半前の自分は妻に謝ることができなかったと思います。

日本メンタルヘルス協会で学びながら、僕も少しずつだけど成長している(と信じたい)です。

少しずつ少しずつ、一歩一歩。
小さな歩みでも、自分の成長を自分で気づいてあげましょう!

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